「どう?たとえ話を聞いて。心当たりは?」

「めちゃくちゃありますね」

「まぁ、マラソンの場合はちゃんとゴールすることを目標にして考えて走っているけど、受験生でもない生徒がゴールである入試から逆算して現在の状態を分析するとか難しいわな。まず遠すぎて入試がゴールだというイメージがわかないだろうし、大多数の生徒がそもそも走りたくない(勉強したくない)わけだし。」

「正直言ってまだ入試とかはピンと来てないです」

「それが普通だと思う。先生だってみんなと同じ頃は受験のことなんて何にも考えてなかったし。」

「え~、先生でもですか?」

「別に先生は勉強大好き人間じゃないし。じゃあ今回のまとめだ。たとえでも言ったけれど、テスト勉強をするなとは言わない。けれどテスト後に反動でガクッと緩むくらいならコツコツと勉強をし続けたほうが絶対にいい。」

「やっぱりそうなんですね」

「いいか、すべての勉強にはいくつかの段階があるんだ。」

「段階ですか」

「ちょっと書いてみるかね。」

0  未学習 完全に忘れている状態
1  学校で習った 思い出した状態
2  内容が理解できている状態
3  その内容の問題が解ける状態

「まあ、大雑把にこんな感じかな?」

「でも確かにはっきり違いますね」

「人間は時が過ぎれば忘れていく生き物なんだ。だからどんなにテスト前に勉強して大量の『1』を作り出しても、勉強しない日が続けばまた『0』に戻ってしまう。そしてまた次のテスト前に『1』を作り出している。これの繰り返しをよく見る。確かに勉強はしているけれど、いつまでたっても『1⇒2』『2⇒3』とステップを進める勉強ができない。ここが問題なんだよ。」

「じゃあ、勉強しているのに成績が上がらないっていうのは・・・」

「想像してる通りだと思う。勉強に限らず一度完全に理解したものや苦労して出来るようになったものは、そう簡単には忘れたりしないんだ。入試の範囲は広い。だから大量の『1』では太刀打ちできない。」

「どんなにわかっていても解けなければ意味がないですもんね」

「そういうこと。だから塾ではテストを無視して『3』をひとつずつ積み重ねていく方法をとっているわけ。時間がかかりそうなイメージだけど実際には無駄が少なく効率がいいからね。」

「なるほど」

「そうそう、学校とかでよく言われる『繰り返して勉強しろ』っていうのは『0⇒1』の繰り返しじゃなくて、『1⇒2』や『2⇒3』にするための繰り返しのことだからな!そこのところヨロシク!」