「分離登校始まったんだっけか?」

「そうです。出席番号の偶数と奇数に分かれて半分ずつの登校です」

「しかも午前中だけ?」

「さらにさらに、1授業30分で休み時間5分とかいう無茶です」

「時間が限られているから、1つの授業を短くしていろいろな教科をするようにしたんだろう。通常時間割で1日3教科じゃ出来ない教科も出てきてしまうし。まぁしゃあないね。」

「ただ、教室の違和感が半端ないです。前後左右に誰もいないので」

「6月の通常授業再開へ向けての学校側の精一杯の対策やろ。周りと「密」にならない環境で、学校に通う・授業を受ける感覚を取り戻してもらわないといけないからな。なんせ80日くらいはまともに学校へ行ってないわけだからな。夏休みもビックリだ。」

「別にずっと休みのままでもよかったんですけどね」

「長くなればなるほど強烈なしわ寄せがくるぞ。もう十分来てるけど。日本は中学までは義務教育なんだから、中学校の内容を未履修のまま卒業させるとは考えにくい。もっと休みが長くなれば、それこそ夏休みも冬休みも最悪土日もなく数か月間永遠に授業が続くことになるぞ。それでもいいなら別にいいけど。」

「それはまずいです。先生!」

「それでも夏休みが大幅に短縮されるのは確実だろう。お盆前後の10日間くらいになるんじゃないか?」

「うっ、まぁそうですよね~。夏の暑い時期に学校で、春のいい季節の時に外にも出られないなんていいことないじゃん!」

「正直いって今年の学生はかわいそうだと思う。部活も勉強も今まで当たり前に出来ていたことが突然できなくなった。『普通』であることのありがたみがものすごく分かった3か月だったんじゃないかな。もちろん誰のせいでもないしどうすることも出来なかった。国もみんなも頑張った結果、ようやく日常に戻りつつあるけれどこの3か月は戻ってこない。だからこれからは『普通』であることに感謝しつつ出来る限りのことをやっていこう。勉強にしても日常生活にしてもそうだ。」

「はい」