「ついに休校になってしまったな。下手したらみんなと会えるのは卒業式だけになるかもしれんな。」

「はい」

「やっぱり不安はあるよな~」

「ないと言ったら嘘かな~。私はまだこうやって先生と話せているだけましかもしれないけど。」

「学校と同様にほとんどの塾も休塾しているからな。頑張ってフォローしているところもあるけれど。まぁ最後の追い込みってところで学校や塾に通えないっていうダメージは少なからずあるとは思ってる。」

「ですよね~」

「ここの塾は教室まるごと1人で完全独占って形だからこそ、普段通り塾をやっている。準備や消毒は大変やがな。」

「こうやって話せてるだけでも助かります。」

「いくら塾が開いているといったって、入試までの時間的にやれる事は限られている。新しい問題をどんどん解いて、分からない箇所が出て来て・・・っていう時期じゃない。そんな事やったら焦るだけやしな。」

「今から出来ることって何ですか?」

「今まで解いてきた問題の見直し、不安だった箇所の確認。そして心を落ち着かせること、かな。」

「あ~」

「入試直前の異常事態で不安に思っているのはみんな一緒。最悪の条件だが横並びや。だから『こんな状況だけど大丈夫!自分はいける!!』って意識を持てた人が断然有利になる。例年以上に心理・精神的コンディションが重要になってくる。」

「はい」

「そんな訳で塾では、前に決めたプラン通りに進めているし、今日もこうして復習と雑談をしてるんや。『普通であること』は大事だから。」

「私が家で出来ることは?」

「自分を信じることや。出来ている・うまくいっている自分を想像しろ。そして合格している自分を想像しろ。大丈夫。普段通りやれば失敗することはない。不安に思ったらメールでも電話でもしてきな。」

「わかりました」