「終わってしまったな。」

「まだ8月なのに2学期が始まるとかテンション下がります~」

「しかも、小学校は9月2日からだからなぁ。」

「はぁ?ずるくありません?文句言ってきます!」

「教育委員会にか?学校に文句言っても無駄だぞ?今年は(も?)9月以降も月曜日が祝日になる3連休が多いから、月曜日の授業を確保するために、前の金曜日に実力テスト、そしてその前日の木曜日を始業式にするしかなかったんやろうな。」

「別に始業式とか実力テストとかいらないんで、9月2日から気分良く月曜の授業でいいじゃないですか!」

「そうだそうだ~ってあれ?テストはいつするの?」

「いらないんで!」

「でも、テストに向けて準備してきたんじゃあ?」

「でもテストは嫌いなんで。無いに越したことはないです!」

「準備不足ってことでいいのかな?」

「はい、いいです!」

「あのなぁ・・・。」

「だってテスト範囲が習ったところ全部ですよ?広すぎです!」

「言っておくが、入試本番の出題範囲は中学3年間で習ったこと全部だけどな。」

「入試までまだ時間があります。」

「まあな。ただ、入試に近い形式のテストにはなってきてるからな。定期テストよりは遥かに重要ではある。」

「それはわかってます!」

「そして範囲の広さをカバー出来ず点数を下げる生徒が続出する。」

「嫌な事言ってきますね」

「定期テストでは点数が取れるけど、実力テストでは点数が取れないっていうのは、本当の意味での実力がないって事。つまり入試本番では実力テストの点数に近くなると思っていい。」

「せんせ~は中学生の頃どうだったんですか?」

「定期テストと変わらない点数を取れていた。ただ、みんなの点数が下がっていたから偏差値や順位は上がっていたかな。」

「どうやって勉強していたんですか?」

「自分の実力を客観的に見て、苦手だと感じた分野を学年問わず戻って、集中的に復習して弱点がないようにしていた。リアルタイムの授業内容についても復習中心で教科書⇒ワーク⇒教科書⇒間違えた問題の解き直しのループやな。」

「その『苦手を集中的に復習』してもなかなか完璧にならないじゃないですか~。せんせ~は勉強が得意だったからいいけれど~」

「別に『得意』だったわけではない。自分なりの勉強法を確立出来ていただけで、苦手分野の克服はみんなと同じように苦労していたぞ。」

「自分も苦労しているんですけど~、なかなか点数に繋がらないんですよね~」

「『復習しなければならない分野が多い』という焦りと『早く結果を出したい』という焦り。この二重の焦りが復習の精度を下げている可能性が高い。中途半端に復習をして結果自分のものに出来ず、もう一度復習をやり直す。ってなってるんじゃないか?『急がば回れ』やな。これから時間も限られてくる中で、同じところを何度も復習できなくなる。今やっている復習で完璧にするんや。」

「でも、ひとつの分野だけ完璧にしたって点数はちょっとしか上がらないじゃないですか~。他にも復習しなきゃいけないところがあるのに~」

「だから言ったろ?焦るなって。今は結果を求めるな。」

「え~」

「正しく言うと『総合的な結果を求めるな。』かな?今まで出来ていた分野と復習し終わった分野だけで判断しろ。」

「というと?」

「たとえば、今回のテストの中で30点分は自分が苦手だという自覚があり、しかもまだ復習が出来ていない分野だったとする。」

「はい」

「であれば、その30点は考えるな。70点満点のテストだと考えるんだ。」

「・・・・」

「で、結果が55点だったとしよう。100点満点で考えれば正解率は単純に55%だけど、70点満点で考えれば・・・どれだけだ?」

「え~っと、78,5%ですね」

「もちろん苦手な30点分で1点も取れないって事はないだろうけど、自分が『出来る』と考えていた70点分だけで考えてみれば点数は78点だ。」

「お~、結構いい点数!」

「つまり、今はまだ未完成だけど、入試本番までにその30点分をしっかり復習して習得できれば、本番では78点前後はとれる実力がある事になる。」

「なるほど」

「だから、目に見えている点数じゃなくて、『解けそうな問題』の範囲内での自分の正解率を見てみろ。そして『今は道半ばなんだ。これから残った苦手な分野をしっかり復習して入試本番でピークが来るようにすればいい。』って考えるんだ。」

「はい」

「この55点から78点になる23点の差がいわゆる『伸びしろ』っやつやな。この伸びしろは『苦手分野の復習の精度』つまり『いかに真剣に勉強に向き合えるか』で変わってくる。」

「そんなものなんですか?」

「入試は自分の得意な分野だけが出るなんてことは絶対無い。必ず自分が苦手とする分野からも出題される。入試までその苦手を避け続けていて、いざ本番で解けると思うか?まず無理だろ?しかも『やばい、出来ない!』って焦るだけだ。」

「でしょうね。焦りそう」

「そうならないために夏休みの間、苦手分野の復習を徹底してきたんだろ?それは勉強に真剣に向き合ったってことだ。よく頑張った。これからも『早く進めること』よりも『精度を上げること』を意識して頑張っていこう。」

「はい!」

「次の実力テストは『自分はまだ実力がない』ことを受け入れたうえで、『解けそうな問題』に全力で食らいつけ!」

「頑張ります!」