「さて、この1週間で数学の土台作りはできたかな?」

「せんせ~、中間テストの時より課題が難しいのは気のせいですか?なかなか苦労しているんですけど」

「気のせいじゃない。」

「いや、『気のせいじゃない』ってしれっと言われても。出来が今ひとつで自信なくすかもですよ~」

「ん。そこのところは心配してない。」

「で、易しい課題はないんですか」

「だって易しい課題はすぐ解けちゃうじゃん。つまんない。」

「でも解けるっていう自信がつきます」

「じゃあ、これからは『基礎問題を確実に解けること』じゃなくて『標準~発展問題を解けるようになること』で自信をつけていこう。」

「はは~ん。じゃあこれからは難しい課題が続くと?」

「それだけ自分の力・レベルが上がったっていう事だぞ。先生だって出来もしない人に難しい課題を出したりしないからな。」

「これって褒められてる?喜んでいいのかどうか微妙なんですけど」

「褒めてる褒めてる。チョ~褒めてる!」

「はいはい、嘘ですね」

「まあ褒めてるかは微妙やけど『よく頑張っている』という評価はしてるぞ。ようやくこのレベルまで来たか。って感じかな。よ・う・や・く・な!」

「あ~どうもすいません」

「さて、ここからはすべてを完璧にする作業ではない。どうせ期末テストまでに間に合わないしな。まずは自分が解けそうなものを見つけて、その問題&類題に特化してマスターしていこう。」

「でも、その問題がテストに出なかったら意味なくないですか?」

「期末テストが入試本番ならな。でも今回は期末テスト。出なかったらドンマイやな。でも心配すんな。そもそも基礎力が上がっているから最低限以上の結果は出るはずだぞ。それに今やっている問題が出なかったとしても、出来るようになることでまたひとつレベルアップする訳だし、入試本番までの長い目線で見れば全然無駄じゃない。」

「でも、点数アップに結び付けたい・・・」

「気持ちはわかる。でも結果を早く求めすぎるな。数学はとにかく積み重ねなんや。1年の内容の上に2年の内容。2年の内容の上に3年の内容ってな。なんとなく分かるやろ?1次方程式が出来ないと連立方程式は解けないし、比例反比例が出来ないと1次関数は解けない。」

「まあ・・・そうですね」

「もともと数学が苦手、つまり積み重ねる土台部分が弱いってところからスタートしたんだから、そう簡単には頑丈にならんよ。つまり本当の意味で結果が出るまで時間がかかるってことだ。ちなみにやけど、期末テストが終わったら今は手が付けられなかった難しい問題も解けるように頑張っていくぞ。」

「さっき『すべてを完璧にする作業じゃない』って言ったじゃないですか~」

「『期末テスト前までという時間制限があるから』とも言ったぞ。さすがにそこまでには間に合わないものもある。しかも見ていると、かなり難しい問題でもいい線いっているところもあれば、基礎+αレベルで苦戦しているものもあるなぁ。」

「えっ?」

「つまり、『前学年までの土台+今年度の頑張り』がうまくかみ合っている問題は難しくても解ける。かみ合っていない問題はそれほど難しくなくても解けていない。少なくとも『今年度』は頑張っていると思うから、解けない原因は『前学年までの土台』に欠点があるからやろな。」

「うっ・・・」

「まぁ、結構厳しいこと言ってるけどな。心配するな。その『前学年までの土台』の修理をする期間が夏休みじゃないか。学校の授業が休みになる。つまり進まないんだから、このチャンスにしっかりと『今までの復習』をするんだよ。その復習がしっかりできて土台が出来たら、いま解けない問題も解けるようになる。解けなかったとしても解説を聞けば理解できる可能性がぐんと上がる。」

「はい・・・」

「期末テストはあくまで受験勉強の通過点でしかない。まだ自分の実力的には未完成なんだから、まずは小細工せず堂々とテストに突っ込んでいけばいいと思う。そのあとテストをしっかりと復習して、夏休みもしっかり復習して、自分の実力が『完成』に近づいてきたら、実力テストではちょっと対策していい点狙いに行くかねぇ。テストの形式としても本番に近いし。」

「頑張ります」