「さて、新学期がスタートして1週間だけど、新しいクラスには慣れてきたかい?」

「何ともって感じです。自己紹介やってクラス役員決めして、それから各科目のオリエンテーリング?『こんな感じで授業進めますよ~』みたいな話を聞いたりとか」

「あれ?授業は?」

「まだほとんど進んでないです」

「テストもまだでしょ?来週だっけ?」

「そうですね。来週の月・火あたりだったと思います」

「で、再来週が遠足とか修学旅行とか。」

「ですね」

「ゴールデンウイークが終わるまで、学校もあんまりやる気ないな。」

「はい、授業の間に健康診断とかも入ってくるので、勉強一色じゃない感じはします」

「この学校のスローテンポに合わせず、バチっと勉強を進めておくっていうのがナイスな感じなんじゃない?」

「そうですかね?」

「そうですとも!3学期とか授業あっという間に進んだろ?どうせ最後がギリギリになる授業がほとんどなんだから、塾に来ているメリットを活かそうって訳だ!」

「つまり予習ですか?」

「おっ、察しがいい!といってもぶっ飛ばす訳じゃない。1週間の学校授業で追いつかれない程度。つまり塾でやった後、すぐに学校でも同じ内容を学ぶ位の予習だ。」

「ん?学校がスローテンポなら、塾は普通ぐらいってことですか?」

「そういう事になるな。まず、物事を『習得する』には繰り返すことが絶対条件だ。ごくたまに一発で何でも出来てしまう『天才型』もいるがそれは例外やな。これは勉強に限った話ではなく例えばダンスの振り付けとか楽譜や歌の歌詞とかもそうだ。」

「確かに一発じゃなかなか覚えられません」

「人間ってのは、すぐには習得出来ないし時間が経てば忘れていく生き物だ。だから習得するためには、期間を開けず何度も繰り返すことが必要となってくる。」

「なるほど」

「そこには、一度習得したものをどれくらいの期間『覚えていられる=忘れずにいられる』のかっていう問題が出てくる。これは同じ人でも、例えば興味の有る無しや年齢によっても変わってくるかな。また、個人差も大きい。」

「確かに、楽しい内容はずっと覚えていますけど、勉強とかはすぐ忘れます」

「おいっ!でもまぁそれが普通や。で、勉強に関してどれくらいの期間内に復習すればいいのかって話だけど、『繰り返すことが苦手、そもそも勉強が苦手』なら、極力期間を開けずにやったほうがいいに決まっている。10覚えたものを0になってから繰り返しても、それじゃ新しいことを学び直したのと変わらない。10覚えたものの7覚えている時点で繰り返せば、3は忘れていた内容だけれど、7は覚えている内容の確認と上書きだ。0からよりも短時間で済むし、より記憶にも残る。」

「私は勉強も繰り返すことも苦手だから・・・」

「苦手だからこそ塾と学校で同じ内容を学ぶ時間差をギリギリまで短くしていこうって訳だ。少しでも習得できるようにするためにもね。これから塾の課題や学校のテストなどで適性を見ていくよ。さっきも話したけど科目によっても違うからいろいろ大変だと思うけど頑張っていこう。」

「わかりました」