「ということで、学年末テストが近づいてきたけど。」
「あ~、いやだ!テスト受けなくて済む方法とか無いですか?」
「そんなものない!しっかりと受けてきなさいな。」
「習ったところ全範囲とかじゃないけれど、それでもいつもより範囲が広くて無理です!」
「ん?別にいつも通りに勉強してテストを受けたらいいんじゃないか?前にもマラソンに例えて話したでしょ?テスト前だけギアを上げて、テストが終わった瞬間にガス欠になったら意味がないって。」
「でも、ギアを上げないとテストで死にます!」
「じゃあ、今回は死んでいいんじゃないか?」
「えっ?」
「そもそも今からギアを上げたってどっちみちテストで死ぬんじゃない?」
「悪あがきってやつです」
「あがくならもっと前の段階で足掻いておけよ。今は黙ってテストを受けて、その結果を見て次のテストまでに何をしなければならないのかを真剣に考えたほうがいい。その過程で勉強のギアが1段でも上がればいいな。」
「じゃあ、ギア上げなくていいんですか?」
「いいか?勉強ってのは『わからない』⇒『わかる』⇒『出来る』って進んでいくんだ。『出来る』ようになるまでには時間がかかるんだよ。それをテスト前にギアを一気に上げたところでせいぜい『わからない』⇒『わかった・覚えた』くらいまでで『出来る』まではほとんど到達しない。しかもテスト後にギアを下げたら『わかった・覚えた』ものも再び忘れてしまう。そんなことをしていたら非効率だし後々もっと大変なことになる。そうなるくらいなら、普段からコツコツ勉強して『出来る』ものを増やしていったほうが受験から逆算して考えてみれば絶対に楽だ。」
「な、なるほど」
「ギアを上げるというなら、テストの後でも持続できる程度でギアを上げたらいい。」
「でも、テストが終わればまた部活が復活します」
「うん、だから部活をやりながらでも続けられる程度にギアをあげたらいい」
「わかりました」
「じゃあ、まずは普段通りに勉強をすすめていこう。」