「予想はされていたけれど、いよいよ全国でコロナウイルスが蔓延して、石川県内でも感染が広がってきたな。」

「ですね。場合によっては後半の補習授業が中止になるかもしれないです~」

「先生がここで政府を批判しても意味はないのだが、やっぱりGoToなんちゃらをするのは早すぎたと思うし、いくら重症患者が少ないとはいえ、コントロール出来ているかと言われれば大分怪しい気がする。まぁ、春先の休業要請で瀕死の第三次産業を早く助けたいという考えは解らなくもないけどね。国の休業補償金にも限界があるだろうし。」

「第三次産業・・・」

「ん?大丈夫か?」

「農業とか以外・・・」

「とか以外って。農業・林業・漁業が第一次産業になるな。でもその説明だと第二次と第三次の区別がつかないぞ。」

「お店とか・・・」

「鉱業・製造業・建設業が第二次産業になるな。で、お店、つまり小売業やサービス業など、第一次第二次どちらにも属さないものがまとめて第三次産業になっているな。なんか危なっかしいなぁ。はい、社会の課題。」

「うぐっ」

「まぁ、塾とかもサービス業だから第三次産業になるな。まだこの塾は完全1対1だから、他の塾と比べて感染リスクは大分低いとは思うけど、それでもかなり神経使うからな。」

「やっぱりそうなんですね~」

「だって塾に来るとき、『コロナにかかるかも』って心配してないでしょ?」

「まぁ、全然日焼けをしていないせんせ~を見れば外出してないんだな~って思うし、まわりに誰もいないから確かに心配はしてないかな?」

「まぁ、それがこの塾の特長でもあるからな。こういう非常事態には強い。で、本題だ。このままだと9月以降まともに学校があるか怪しい。」

「親もそのことを心配していました」

「自治体からまだ方針は出ていないから何ともだけど、このままだとどう考えても冬は休校だろう。コロナとインフルエンザの区別もつき辛いし、何より感染力がヤバいかつ治療薬が冬に間に合わない感じだからな。」

「やっぱり。どうなるんですか?」

「先生にもまだわからない。ただこのままでは一年間のカリキュラムが終わらなくなる可能性が高い。もちろんうちの塾では学校に代わって本来学校で習う内容を授業形式で教えることはできる。ただ、全員が塾に通っているわけではないからな。通っている生徒とそうでない生徒の間にかなりの格差はできてしまうだろうし、そもそも塾もいつまで通常通り続けらるか不明なところも多い。自治体だって『塾に通っていない生徒』を前提に対策を立ててくるだろうし。本当にどうなるかわからないっていうのが本音だな。」

「親が困ったら塾の先生に相談しなさいって」

「その塾の先生も困っている。まぁ今までに習ったことを徹底的に復習しておくのが差し当たっての正解なのかな。まずは1学期までに習ってきたことの総復習を続けよう。予習に関しては後回しだな。」

「了解♪」